映画ゼロ・グラビティ。私の評価もゼロでいいすか。

もう「アカデミー賞受賞」とか信じないことにするよ。
「そんなの信じてたのかよ!」とかツッコんでいいです。

アカデミー賞とかは、やっぱ作り手側や業界人の作品評価であって、一般消費者が楽しめるかどうかは、あんまり関係ないんですね。

そりゃ確かに作品としては質が高いと思ったけどさ。これは一般向け作品とは言えないでしょ。見る人を選ぶ作品だと思う。

良い部分も多い。けどはっきり言って文句を言いたい部分が、多すぎる。作り手のこだわりでそのようにした、という感じで。見る人の事を考えた演出やスタイルではない。

つまり、作り手のこだわりを作品に仕上げて、視聴者に押し付けている映画。それがはまれば、面白いと感じるのかもしれないが、それがハナにつく人にとっては、不快に感じられる映画になっている。

「科学的に真面目に作っている」とか言われているが、んなの嘘っぱちです。私のような素人が見ても、物理的におかしな部分が多すぎる。
現実にある設備を題材にしているだけに、そういうおかしな部分が目立ってしまう。ストーリーや演出の都合で作られた、物理的に嘘のあるシーンが挿入されると、その時点でしらけてしまうのだ。


とりあえず、代表的な突っ込みどころをいくつか書いておきたい。

●BGMが異常にうざい。頭痛してくる
これ、始まってすぐに感じた。

宇宙はこんなにうるせーのか?んなわけない。これは明白に演出。この BGMによって、視聴者の平衡感覚を失わせ、緊迫感や閉塞感を演出しているわけだ。

宇宙に絶対に存在しない BGMを、作品中、大音量で、ずーーーっと流し続けている。これでどう、リアリティを感じろと?
メチャクチャ白けることこのうえない。というか、頭痛くなってくる。なにしろ、人を不快にするための音響効果だから。

例えるなら、具合が悪くて大きな耳鳴りをしている状態で、我慢して映画を見続けてる感じ。
「BGMがうざい」の一点だけでも、この映画を駄作認定して良いと思った。


●宇宙、危なすぎ。ふざけてんの?
「晴れ時々、スペースデブリの嵐」。オイオイ、これって SF活劇の宇宙シーンよりデンジャラスだぜ。

宇宙はだだっ広い。たとえ衛星軌道だとしても。他の衛星や漂流物との接触は距離を考えると天文学的確率で小さい。
まぁ、実際に衝突することはあるけどね。嵐のようにぶっ飛んでくるわけではない。
つーか、相対速度やサイズを考えると、飛来物など見えるわけない。

映画では飛来物が遠くの方から大量にぶっ飛んでくるのが見えます。で、いくつも大きな破片が衝突します。派手にするために、科学的に嘘のシーンを入れている。

宇宙はスペースオペラの戦闘シーンなみにデンジャラスらしい。でもそんなに危険だったら、宇宙開発なんか不可能でしょ。


●主人公素人すぎ、パニクりすぎ、「主人公補正」で生き残りすぎ
ちゃんと訓練受けた専門家でしょ。もっとしっかりしなよ。
主人公補正(運)だけで切り抜けるんじゃなくてさ。ひらめきとか根性とか努力とか、そーゆーので地道にプロらしく切り抜けてよ。


●登場人物少なすぎ。ネタも少なすぎ。
このくらいのネタだったら、45分くらいに短くまとめたほうがいいでしょう。どーでもいいシーンに時間使いすぎです。全部カットしてちょ。視聴者の時間は無限ではないのだ。


●大気圏突入、運が良すぎ
たしか大気圏突入って角度や姿勢制御をちゃんとやってないと、燃え尽きたり墜落したり、大気圏から弾き飛ばされるはず。
どんだけむちゃくちゃしてもちゃんと着地(着水)できるとか、運が良すぎる。
まぁ「運が良い」ということは現実にあることだけどね。それで片付くレベルなのかなぁ。


●最後のシーン、あっさり終わりすぎ
まあ「登場人物が少ない」というのを「売り」にしたかったんだろうけど。
宇宙から帰還したにしちゃ、あっさりしすぎ。

宇宙ステーションで筋力が萎えた足で、大地を踏みしめて立ち上がり「助かった〜」を表してんでしょーけど。そんなの「主人公補正」の力で助かっただけなんで、感動しないです。

あと、どーでもいいんだけど。ロシアの人工衛星の爆破が今回の大惨事の原因。それにたいして主人公は中国の宇宙船を利用して生還してきたってことには、なにかのメッセージ的な意図があるのかな。